弁護士 芦田栄子の日常記録 第6回 DV男にご用心!?

いつも厚着の女性事務員

皆さん、こんにちは。とある街の大きな法律事務所に勤める弁護士3年目の芦田栄子です。

 季節も移り変わって、少し汗ばむ陽気となりましたね。事務所ではクールビズが始まって、ポロシャツや半そでブラウスで勤務する方がほとんどとなりました。

 「あ、あの…芦田先生…」

 おどおどとした声色で、目を背けながら近寄ってきたのは、最近入ってきた新人の女の子です。

 「あら、佐久さん。どうされました?」

彼女はクールビズが始まってからもずっと黒のパンツスーツを着ていて、暑いのでしょう、今も少し顔が火照っているように見えます。

 「あの、この裁判所への提出書類の最終チェックをお願いできますか?」

 佐久さんはそう言って書類を見せてくれます。その時…

 「ええ…って、佐久さん…あなた、手首…」

 スーツの袖から、手首に青黒く腫れた打撲の跡が見えました。まだ最近のものでしょう。

 「あ…これは、その…家具にぶつけてしまって…」

 慌てて説明をする彼女の目には、不安と怯えが見え隠れします。

 「佐久さん、この書類を見終わったら、一緒にランチに行きましょう。」

 これは放っておくとやばい。おそらく…私の頭には「DV」の二文字が浮かんでいました。

 今日は、DVをする男性の見分け方や、DV行為の判断方法、そして、実際に被害にあった時の対処方法をお伝えします。

 

DV男にご用心!見分ける方法は??

 二人きりで、人の少ない喫茶店に入って問い詰めると、佐久さんは観念したように、ぽつりぽつりと話してくれました。どうやら彼女の旦那様は、相当のDV男のご様子…スーツをまくった腕や足には、無数の痣ができていました。DV男というのは、どこに潜んでいるかわかりません。一体どのように見分けるべきなのでしょうか。

 

⑴外面がいい

 DV男に引っかかってしまう一番の理由は、彼らは外面がいいからです。一見、真面目で誠実な優しい男性に見えるのです。メッセージをマメにくれたり、些細なことでも心配してくれたり…もちろん、真に優しい人もいますから、それだけで判断してはいけません。彼らは一見、そうみえるだけなので、少し仲良くなるとボロがでることもあります。例えば、自分の身内を見下すような発言をしていたり、ふとした時に舌打ちをしている等、裏がありそうな場合は注意が必要です。また、あなたが相手の行動に対して注意をした時や、考え方の違う点を反論した時に逆上するような場合、そこまでいかずとも、機嫌が悪くなる場合は危ないと考えてください。

  彼らは、自分があなたを支配することができると考えています。支配下に置けない、うまくいかない、という場合にイライラしてしまい、最終的に手を出してしまうのです。

 

⑵束縛が激しい

束縛にはいろいろとあります。ちょっとしたやきもちを焼く、くらいなら問題はありません。しかし、例えばメッセージの返信が少し遅れると怒る、あなたが連絡をとる相手や、あなたのSNSにコメントをしてくる人が男か女か確認したがる等、少し行き過ぎている束縛心が見える場合は、DV男の可能性があります。また、一緒にいないと常に連絡してきたり、あなたに予定がある日には、居場所を確認するように電話をかけてくるなど、あなたを信頼していないような態度をとる場合も同じです。

  先ほども書いたように、彼らはあなたを支配したいのです。支配したいというのは、良く捉えるならば、あなたに依存しているのでしょうが、悪く捉えるならば、あなたを自分の言いなりにして、自分のストレスのはけ口にしたいということです。束縛は、愛されているからこそだと考える方もいるかもしれません。しかし、あなたの許容限度を超えているならば一度思い直す必要があります。

 

⑶突然態度が変わる

 DV男との関係性が深まってきた時にありがちなことです。突然、というのは、例えば彼にとって何か嫌なことがあった時…歩いていたら人がぶつかってきた、運転している前の車が遅い等、少し気に障ることがあると、優しい雰囲気から一転するという場合です。

  例えば、ぶつかってきた人に文句を言って喧嘩になってしまったり、前の車にクラクションをならしてあおったり…そういうことをし始めたらアウトだと考えましょう。

また、彼らは、ある人が自分より下だと解すると強気になることもあります。例えば、お店の従業員やコールセンターの受付の方…そういう方に強気な態度で話をするようなら注意しておきましょう。

 

あなたはDVにあってない?

 「でも、私が悪いのも、あるんです。私が、彼の期待に応えられないというか…」

 佐久さんは彼の行為がDVだということは分かっているようです。ですが、彼がそうなったのは自分のせいだと思っている様子。本当にそうでしょうか。どんな要因があるとしても、手を出す、傷つく言葉を浴びせる、そういった行為をした者が責任を負うべきです。期待に応えてくれないからといって、暴力をしていいということではありません。穏便な解決策はいくらでもあります。では、DVとなる行為とはどのようなものでしょうか。そして、何故、その行為がDVでないとか、私のせいだと考えてしまいやすいのでしょうか。

 

⑴DVとなる行為

 DVとなる行為には大きく分けて2種類あります。

  ①身体的なもの

   まず一つ目は、身体的なもの。あなたに対する暴力の他、物にあたって壊すことも当てはまります。また、あなたが嫌がるような性行為の強要、アダルトビデオを見せてくる等も該当します。また、お子さんがいる場合には、その子どもへの虐待もあります。

  ②精神的なもの

   次に、精神的なものです。わかりにくいですが、例えばあなたが傷ついたり落ち込むような暴言・嫌味・侮辱をいう事、反対に、無視をし続けることもこれにあたります。また、あなたが意見を述べようとするのを妨げたり、怖がらせてくる場合も精神的なものにあたるでしょう。あなたの所有物を壊したり捨てるという行為も精神的なダメージを与える場合です。

 

⑵あなたの心境

 このような行為に対して、通常なら「おかしい」と感じて彼から離れたり、誰かに話をするのですが、あなたの心境が汚染されていたら、そうはいきません。一度、冷静になって客観的に考えるべきです。

  ①自分が悪いと思っていない?

   まず、あなたの心が汚染されている場合1つ目は、彼がDVをしてくるのは「自分が悪いから」と思い込む場合です。佐久さんの場合はこれにあたります。彼は私がばかで頼りないから、しっかり行動できるようにしつけてくれている…なんて思っていませんか。少女漫画であれば設定として許容範囲かもしれませんが、現実的には彼の行動はアウトです。また、自分がこの人を選んだんだから、責任を持たなきゃという考えも捨ててください。いい大人ですから、自分の尻は自分で拭ってもらいましょう。

   自分が悪いと感じるのは、もともと真面目で責任感が強く優しい方に多いです。DV男たちが好むのは、そういう自分に従ってくれやすそうな女性です。もっと自分を大切にしなければ、身も心もボロボロになってしまいます。気を付けましょう。

  ②顔色をうかがっていない?

   次に、彼と一緒にいるときに常に彼の顔色を窺いながら行動している場合は要注意です。本来、彼氏や家族というのは、一緒にいたらリラックスして楽しい存在であるはずです。それなのに、今日は機嫌がいいかな、とか、怒られないようにしなきゃ、とか、日頃考えながら彼と過ごしてはいませんか。ある程度、他人に対して礼儀を尽くすことは素敵なマナーですが、過剰すぎる場合は考えものです。例えば、彼じゃなくて友達や親になら、そんなこと考えますか。そうではないのなら、彼との関係性を良く見つめなおすべきです。

 

⑶判断できないのはなぜか

 では、なぜ⑵のような心境に陥ってDVだと判断できなくなってしまうのでしょうか。

  ①ただの喧嘩だと思っている

   一つには、彼のDV行為は喧嘩の一部だと考えている場合があげられます。DVは常にされているわけではなく、DV→落ち着く→優しくなるを繰り返しているのです。そうすると、DV被害者の方によくいらっしゃいますが「普段は優しい」というイメージがつきます。そして、その普段じゃない場合は「喧嘩」をしたのだ、と解するのです。喧嘩との分かれ目は、自分が言い返せているか、です。相手から一方的に暴言暴力を浴びせられて、こちらが謝っても許してもらえず、彼の気が済むまでひどいことをされる、という場合は喧嘩ではありません。

  ②程度が軽いものや精神的なものは判断しづらい

   暴力といっても一度たたかれただけ、精神的なもの等は、DVか否かの認定がしにくいです。一回だけなら違う場合もあります。ですが、何度も重なっている場合、何かしら理由をつけてあなたの心や身体を傷つける場合はDVであると考えてください。

  ③情が湧いている

   一番の理由はこれではないでしょうか。いくらDV男といえども、好きになった相手です。結婚をしていれば、それまでの関係性を考えて離れられなくなっていることもあるでしょう。しかし、DV男はあなたのその心を利用していると思ってください。情は確かに大切なものですが、彼らに対してはそれだけで許容してはいけません。

 

DV被害にあった時の対処法は?

 佐久さんは旦那様のお話をするとき、ひどく怯えた顔になります。別れることは、自分から切り出すのが怖くて言い出せないということです。

 -プルルルル プルルルル―

 佐久さんの携帯がなります。画面をみて、佐久さんの顔色が変わった瞬間、旦那様だと感じました。

 「す、少し、席を外してもいいですか」

 「ええ、もちろん」

 …しばらくして佐久さんが戻ってきます。

 「大丈夫でしたか?」

 「は、はい…やっぱり、彼と距離を置くのは無理かもしれません。怖いです。」

 そう言って、うつむいてしまった佐久さん。DV被害者の方は、DVを受けていることが判断できても、佐久さんのように実行に移せないことがほとんどです。では、彼らに対して立ち向かうには、どうしたら良いのでしょうか。

 

⑴誰かに相談しておく

 まず、一つ目は誰かに相談しておくことです。ご両親でも、信頼できる友人でも構いません。また、弁護士や地域の相談窓口にも伝えておくことが大事でしょう。何かあったら誰かを頼れる環境を作っておくのです。

 

⑵証拠を残す

 二つ目に、証拠を残すことです。身体的なものを受けているのであれば、傷やケガを撮影しておくことが重要です。ただし、スマホをチェックするDV男もいるでしょうから、保管には細心の注意を払いましょう。次にメモや日記をつけることです、日時・場所・暴力内容・どのくらいの間暴力を受けたか・精神的に追い詰める言葉・負った傷・DV後の彼の行動と自分の行動・通報できなかった理由等、具体的に、客観的に、まとめておくことが大切です。また、警察力を使いたいという場合は、診断書が有力です。以上に述べた証拠を持って警察に駆け込むのが一番有益でしょう。あなたが身体に傷を負っている場合は傷害罪で逮捕できますし、実際に暴行をうけたことが証明できれば暴行罪、脅しを受けたなら脅迫罪にあたることも考えられます。DVは立派な刑事事件なのです。

 

自分をしっかり持って、前を見て

 「私…証拠を集めます…」

 佐久さんが、おそるおそる告げました。

 「あら、思い直してくれましたか」

 佐久さんは少し微笑んで、私を見ます。

 「芦田先生が担当してくれますか。日記や傷の写真は、事務所に保管させていただきたいです。」

 「…もちろん、もちろんです。がんばりましょう。佐久さん。」

 DV被害にあっている方は、自分自身を大切にしていないことが多いです。そのため、彼がいなければだめだと思い込む方も多いです。しかし、もともと真面目で責任感が強く、優しいあなたです。もっと必要としてくれる人はたくさんいます。彼への情が残っているとしても、あなたが自分を愛せない環境にいるのであれば、その関係は絶つ方がいいでしょう。

 今回は、DV男の見分け方や、DVの判断方法、被害にあった場合の対処方法についてお伝えしました。もし、あなたやあなたの周りで被害にあっている人がいるなら、今回お伝えしたことを参考にしてください。それでは、また次回、お会いしましょう。

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